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フェレット

リンパ腫

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リンパ腫

 血液リンパ系の腫瘍ではリンパ腫が非常に頻度の高い腫瘍性疾患で、すべての腫瘍の中でもインスリノーマや副腎腫瘍に次いで多くみられます。実験的に水平感染の可能性が指摘されていて、このことからこの疾患の一部にレトロウイルスの感染が関係していることが疑われていますが、現在まだウイルス自体は分離されていません。
フェレットではリンパ腫の分類は明確にはされていません。病理学者によって、報告書の記載内容が異なることもあり得ます。リンパ腫の分類について書かれた資料がいくつかありますが、分類の基準が異なっているため比較が困難です。
 できるだけ多くの情報に基づいてグレーディング、病期分類を行います。書籍によって食い違う部分もありますが、現状ではFERRETS RABBITS and RODENTSなどの書籍を参考とするのが好ましいでしょう。

 従来リンパ腫は二つのタイプに分けられて記載されています。ひとつは“若年性”で、おもに2-3歳以下のフェレットにみられる“リンパ芽球性”といわれる、多くの内部臓器がリンパ球の浸潤を受け、その結果臓器の腫大を生ずるものです。さらに典型的に見られるのは若いフェレットにおける呼吸困難で、これは重度に腫大した胸腺の影響によるものです。
 もう一つのタイプは“リンパ球性”と言われるもので、成人慢性型ともいわれます。3歳以上のフェレットに多くみられ、臨床症状を伴わずに抹消リンパ節の重度の腫大を見るものです。時間の経過とともに、リンパ球は種々の組織に浸潤し、進行例では臓器不全から死に至ります。二つのタイプを鑑別診断することは有用ですが、この疾患はさらに様々な病態を呈することもあるため困難な場合も少なくありません。
 リンパ腫を適切に診断するためには、生検が必須です。FNA生検を行わずに全血球計算CBCのみで診断を行うべきではありません。膝窩リンパ節は容易に切除可能で、この組織の生検は診断として最適です。超音波下でのFNA生検も一つの診断法ですが、確定診断に至らないこともあります。

ステージング
 獣医領域でもWHOのステージングを適用する場合が多いようです。猫では解剖学的な発症部位によりステージングが行われますが、フェレットでもこの方法が実用的かと思われます。
 タフツ大学でステージングは血小板数を含めたCBC、血液生化学検査、全身のレントゲン検査(2方向)、腹部超音波検査、罹患組織の生検、骨髄穿刺液の検査により行われ、現在では4つの病期に分類しています。

• Stage 1: 一つの臓器のみ罹患。
• Stage 2: 横隔膜を境として、一方の側の複数の臓器が罹患。
• Stage 3:脾臓および横隔膜の両側のリンパ節が罹患
• Stage 4: 横隔膜の両側の多数の臓器が罹患

 他の研究ではさらに重篤な状態を加えて5段階に分類している報告例もありますが、臨床的にはこの程度でも十分かと思います。

臨床症状
 フェレットのリンパ腫には、好発年齢は特に報告されていません。2か月未満での報告例もあります。 性差も報告されていません。症状も全体的な元気のなさ、食欲の低下、下痢、呼吸困難など、罹患部位により様々です。何ら症状を呈さずにリンパ節の腫大を認め、生検により診断される例もあります。
 若齢性の消化管型リンパ腫では胸腺や肝臓、脾臓などへのリンパ芽球浸潤がみられることが特徴とされ、そのため呼吸抑制や貧血、肝酵素の上昇などがみられるとする報告があります。また、高齢動物のリンパ腫では高分化リンパ球が末梢リンパ節に重度に分布し、末梢リンパ節の重度の腫大を生じるとする報告もあります。このような場合でも臨床症状は呈さず、他の部位への転移が見られない場合も多く、切除することで治癒可能な例もあるようです。いずれにしても報告例は少なく、さらに検証が必要と思われます。
 血液学的な変化も罹患部位によって異なり、貧血を認める例が多いですが、末梢血中に異形リンパ球を認めることは稀とされています。犬猫に見られるような高カルシウム血症が見られることも稀です。

臨床検査結果
 最も多くみられる血液学的変化は貧血です。フェレットのリンパ腫で報告された貧血はすべて非再生性貧血でした。リンパ球増多や血小板減少はほとんどみられません。このためCBCのみでの診断は困難です。重度のリンパ球の増多が見られたとしても、それだけでリンパ腫と診断はできません。

画像診断
 画像診断もそれだけで診断可能な診断法ではありません。しかし、各種臓器の腫大の確認、縦隔の腫瘤の有無の確認、リンパ節の腫大、胸水の存在などは一般レントゲン検査でも確認できます。
 超音波診断では腹部リンパ節の腫大の有無を確認できることがあります。フェレットの消化器型のリンパ腫ではほぼすべての症例で腸間膜リンパ節の腫大を認めると考えてよいでしょう。しかし、超音波診断で腸管膜リンパ節の腫大が認められなくても、リンパ腫が否定されることにはなりません。またリンパ腫以外の疾患でも腸管膜リンパ節の腫大が認められることはありますので、リンパ腫の確定にはなりません。

組織病理学的検査
 リンパ腫の確定診断には病理検査が必須となりますが、フェレットの病理は犬猫とは異なるために、フェレットの病理に長けた病理学者に診断を依頼する必要があります。腫大したリンパ節の吸引生検はリンパ腫の診断に有効ですが、誤判定がしばしば起こり得ます。
 消化管の慢性的な炎症によって生ずる消化管周囲のリンパ節の変化は、リンパ腫との鑑別が難しいようです。これに対して、末梢に近いリンパ節では局所の慢性的な炎症の影響を受けにくいようです。リンパ節の生検はこれらのリンパ節で行うとよいでしょう。
 リンパ腫の細胞学的特徴は均一なリンパ球の集簇および末梢血成分の欠乏とされます。白血病が疑われる場合には骨髄穿刺による採材が推奨されます。白血病では骨髄には細胞が均一に多く集積し、通常は認められる脂肪などの組織はごくわずかしか認められません。
 脾臓の腫大が見られる場合には、穿刺吸引により生検を行うことが勧められます。このような例の多くに髄外造血がみられます。脾臓の吸引材料に赤血球前駆細胞や巨核球などが見られることは、髄外造血を示唆します。

治療
 フェレットのリンパ腫のプロトコールはいくつか報告がありますが、比較検証された報告はありません。そのため効果や副作用、寛解率、生存率などに基づいて治療法を選択することはできません。それぞれのプロコールについて、個体ごとに費用や副作用、投薬の難易など、獣医師と飼い主との話し合いのもとに決定されるとよいでしょう。

化学療法
 一般には初期の誘導期と言われる期間に、多種の薬剤を同時に用いて最大の効果が得られるように投与します。これはおそよ4週間の間に行われますが、この期間に主に副作用が認められます。
 次いで強化療法の期間となり、腫瘍細胞をより低減させることを目的としますが、数か月続けられることもあります。薬剤耐性が生ずる場合には新たに薬剤の変更を求められることもあります。
 その後の維持期には残存する腫瘍細胞に対する抗がん治療を行います。この時期の抗がん治療は副作用の強いものではなく、時には長期に及ぶこともあります。

 人の抗がん治療のような非常に強い副作用が動物で見られることは多くはありませんが、食欲の低下や嘔吐などの消化器症状はよく見られます。オンダンセトロンやマロピタントなどを利用するとよいでしょう。必要に応じて消化管庇護剤も利用されます。副作用として頻度の高いものは血球の減少で、二次感染を生じ、時には敗血症を起こすこともあります。フェレットの白血球数の正常値は成書によりかなり開きがありますが、犬猫に比較すると比較的低く報告されています。したがって、抗がん治療による血球数の変化には十分注意が必要で、予防的に抗菌剤を投与することも推奨されます。感染が疑われる症状が見られた場合は、入院隔離の上での投薬治療を行います。このような副作用が見られた場合は、抗がん治療のスケジュールを見直す必要もあります。複数の薬剤を投与している場合は、どの薬剤が副作用の原因となっているのか、投薬を分けることによって判断します。薬剤の特定ができた場合は、投薬量を20%ほど減量して次回の投与量とします。
 
 フェレットのリンパ腫に対する化学療法に関してはいくつかのプロトコールが報告されています。いずれも犬猫のプロトコールを参考にして行われているのもので、良好な結果を認めた報告もありますが、比較検討した学術的な資料はなく、いずれかのプロトコールが優れているという根拠は得られていません。
 犬や猫ではシクロフォスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン、ヒドロキシダウノルビシンなどの併用療法リンパ腫治療の主流となっています。フェレットでは、静脈留置を毎回行って投薬することが動物にとって非常にストレスフルなものとなるため、これを避けられればより好ましい治療法と考えられます。タフツ大学ではこのため、静脈内投与を必要としないプロコールを報告しています。その他種々のプロトコールが、投薬量などについては成書を参考にしてください。
 近年、人医領域では、副作用を低減した、低用量の抗がん剤を長期的に使用する治療法が実施され良好な結果を認める例も報告されています。犬ネオにも徐々に適用されていますが、フェレットにおいても十分期待できる治療法と思われます。


放射線治療
 リンパ腫は放射線治療を適応しやすい腫瘍と言われます。リンパ腫の腫瘤を縮小させる効果が非常に高いとされ、前縦隔の腫瘤により呼吸抑制を生じている場合など、急速に状態を改善させることも期待できるとされています。しかし、実際に放射線治療を実施できる施設は限定され、フェレットにおいてこの治療法を選択することは現実的ではありません。

補助療法
 腫瘍随伴症としての悪液質に陥ると、治療への効果が低減し、全体的なQOLの低下、生存率の低下を招きますので、適切な栄養補給が重要です。たんぱく質やアミノ酸の補給は免疫力を高め、回復を早める可能性があります。
高脂肪低炭水化物の飼料が腫瘍の形成を妨げ、予後を改善するとする報告もあります。またOmega-3脂肪酸は腫瘍の形成を抑制するとの報告もあります。高品質のフェレットフードは高タンパク高脂肪で、この目的に適していると言えます。

(補遺) 
 化学療法を受けたフェレットに対してワクチンを接種するべきではないとする記述もあります。この点に関するエビデンスの有無については明らかではありません。ワクチン接種によって免疫系が刺激され、悪化を生ずる可能性があると指摘しています。


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